生ハムとトマトのピペラド、じゃがいもの卵衣ソテー R#028

美食で知られるスペイン・バスク地方の郷土料理ピペラドをベースに、あまり辛くない味に私流にアレンジしました。というのも、私も私の夫も激辛が苦手なので、バスク地方の唐辛子をふんだんに使う料理は、そのままでは取り入れられないからです。日本ではバスクの大きくて真っ赤な唐辛子のような、あまり辛くない赤唐辛子が手に入りません。そこで青唐辛子(ししとう、万願寺唐辛子など)で唐辛子の美味しさをこの料理に取り入れてみました。辛みは全くないけど、唐辛子特有の野菜としての美味しさは味わえます。激辛がお好きな方は、青唐辛子のかわりに国産の赤唐辛子(鷹の爪など)を使ってください。ピぺラドはバスク地域の旗の色(赤、緑、白)を表す料理だそうで、赤は赤いパプリカを主力に、緑はグリーン・ピーマン、白は卵(の白身)を組み合わせることが多いようですが、ここではトマトを赤の主力に、緑には青唐辛子を使っています。作り方もオーソドックスなグリル、スープ仕立て、タパス風炒め煮などさまざまあります。最近このレシピのような、卵と生ハムを本体と別に調理して最後に合わせる方式が一番美味しいことがわかりました。そこで、今回のレシピのリニューアルを機に、グリルからこの方式に変更しました。ただ、このやり方だと、卵が黄色くなる(スクランブル・エッグ風)ので旗の色とは合わなくなりますが、バスクの人たちはきっと大目に見てくれるでしょう。

付け合わせの、じゃがいもに卵の衣をつけてオリーブ・オイルでさっとソテーするのも、スペインのバルの定番。どちらも夏のビールにはこれ以上ない伴侶になります。あまりおいしすぎてビールを飲み過ぎないように!


材料:3人分

生ハム(国産の廉価品でよい) 100g
ソーセージ(1本60g前後のもの) 180g
ミニトマト(大きめ) 6個
たまねぎ 中1個
溶き卵 4個分
青唐辛子(ししとう、万願寺など) 6~7本
はちみつ 大匙1
白ワイン 大匙1
パプリカ(粉末) 小匙1半
チリ・パウダー 小匙1
にんにく(大) 1片

オリーブ・オイル   大匙2
粗挽き黒こしょう   適量
塩   適量
バター   30g
イタリアン・パセリ(みじん)   大匙1

[じゃがいもの卵衣ソテー]
_じゃがいも(男爵かキタアカリ) 大1個
_溶き卵 1個分
_小麦粉(薄力粉) 適量
_オリーブ・オイル 大匙2
_こしょう 適量

作り方:


1.にんにくは皮を剥き薄くスライス。ミニトマトはヘタを取り半分に切る。青唐辛子はヘタを取り、縦半分に切って種を除く(写真1)。たまねぎは半分に割り、繊維を断つ方向に薄切り。ソーセージは縦半分に切り、それを厚さ5ミリ程度の半月状に切り分ける(写真2)。卵4個はひとつの器に溶いて塩こしょうしておく。

2.フライパンにオリーブ・オイルとにんにくを入れて熱し、アーリオ・オーリオを作る(そのレシピ参照)。

3.にんにくの香りがオイルに移ったら、ソーセージ、たまねぎ、青唐辛子、ミニトマトを入れて中火で炒める(写真3)。パプリカとチリ・パウダーを振り入れ、白ワインを注ぎ、全体をよく混ぜる。はちみつを加えて更に混ぜ、味見をして塩こしょうを振る。鍋の中身全体がしんなりとして、混ぜているときの感触がひとつにまとまって来たら火を止める(写真4)。みじんに刻んだイタリアン・パセリを散らす。


4.別の小さなフライパンにバターを入れて溶かし、溶き卵を流し入れて、箸でかき回し、スクランブル・エッグを作る。卵がバラバラの塊に分解する寸前、写真5ぐらいの固さで火を止め、別の皿に取り出す。

5.4.のフライパンに生ハムを切らずに入て熱する(写真6)。さっと火が通ればよい。別に取り出す。


6.食卓へ出す銘々皿に4.のスクランブル・エッグを敷き、その上に3.のフライパンの中身を取り分けて載せる。体裁よく中身を卵の上に移すには写真7のようなセルクルを使うとよい。セルクルの下に透明のプラスチックの板をあてがい、中身を入れ、卵の上で板を引き抜く。中身が崩れずに卵の上に載る(写真8)。

7.その上に更に5.の生ハムを広げて載せる。

8.次に、じゃがいもの卵衣ソテーを作る。じゃがいもの皮を剥き、5ミリ厚ぐらいの薄さにスライス、塩の入った水に入れて水からゆがく。竹串などを通してみて、やや硬めに茹で上がったら、湯をきり、キッチン・ペーパーで水けをふきとる。じゃがいもの両面に小麦粉をまぶし、溶き卵に通す。
3.のフライパンをさっと洗い、オリーブ・オイルを入れて熱し、じゃがいもを弱めの中火で炒める。オイルの量が少ないようならオリーブ・オイル(分量外)を足す。オイルの量が少なすぎると卵が焦げ付くので、オイルは十分に。途中で一回フライ返しなどを使って、じゃがいもの衣が剥げないようにそっと裏返す。蓋をして2~3分蒸し焼きにする。最後にこしょうで調味して出来上がり。ピぺラドとは別の皿で出す。
メモ
    この料理に使う生ハムは高級品でなくてもよい。軽く炒めて使うのでスーパーなどに売っている国産品で十分。青唐辛子がない季節は、味は落ちるがグリーン・ピーマンで代用できる。ミニ・トマトはもしあれば加熱すると味がよくなる細長い形のものを使いたい。最近は国産の細長ミニトマトも目にすることが多くなった

    リニューアル情報:
    このこのレシピは2020年4月11日にリニューアルし、出来上がり写真を変更、本文に加筆、調理中の写真を追加しました。