番外編:3.全粒粉で作るコリコリ感最高の中華花巻パン

  私が昔中国にいた頃、まだハイ・ティーンの年代でしたが、すごくおいしい花巻が大好きでした。せいろで蒸したパンなのに、歯ごたえがコリコリしているんです。日本に戻ってから、その味が懐かしくて同じものを出してくれるレストランを探しましたが、みつかりません。コリコリしているのは、当時中国の小麦粉が十分精製されていなかったからと教えてくれる人もいましたが、後になって全粒粉という小麦粉を使えば、コリコリ感のある蒸しパンが作れることを知りました。ただ、その場合どれくらいの割合で全粒粉を混ぜたらいいのか見当がつきません。中国のお友達に訊いても、それは「混ぜたんじゃなくて、当時はそういう粉しかなかったからじゃないの?」とまともな返事が返ってきません。ネットを探してもあるのは普通の純白の小麦粉を使うレシピばかり(当然できるのはふわふわの蒸しパン)。ところが今回偶然にもレシピブログ(フーディスト・パーク)が主催する「全粒粉レシピコンテスト」に応募したのがきっかけで、長年の懸案だったコリコリした花巻に最適の配合比率を見つけることができました。レシピブログから提供された日清製粉の「日清 全粒粉パン用 チャック付」を使って昔大好きだった茶色いコリコリ花巻とそっくりの花巻ができたのです。美味しさは昔以上かもしれません。ぜひ皆さんにも紹介したくてこのブログに番外編としてアップロードすることにしました。格別気に入ったのは、

日清製粉Welna
全粒粉パン用500g
日清 全粒粉パン用 チャック付」の全粒粉がこれまで以上にきめが細かいこと。そのおかげで花巻がコリコリしながらも、全粒粉にありがちなざらつき感がまったくないことです。非常にきめの細かい全粒粉なので、普通の小麦粉と同じ感覚で様々な料理に使えるとのこと。花巻にかぎらず、パンやお菓子、揚げ物の衣などに使ってみてください。全粒粉は小麦をまるごと挽いた粉で、栄養価の高い胚芽や胚乳を含んでいるだけでなく、全粒粉を使うことは今懸念されえている世界的な食料資源の不足に対する有効な対策にもなりえるのです。SDGsの視点からも全粒粉をぜひ日常のお食事に取り入れて頂きたいと強く願っています。
全粒粉を使った料理レシピ
全粒粉を使った料理レシピ



「全粒粉レシピコンテスト」参加作品



材料:(食事のご飯代わりの場合2人分、5~6個ぐらい)

生地に使用する小麦粉:200g 内訳は下記の通り。

普通の小麦粉

薄力粉

       93g

強力粉

              27g

日清Welna全粒粉パン用

              80g

     合計

     200g

ドライイースト3g
ごま油小匙2程度
ねぎ(青い部分)1/3本
五香粉2~3振り
打ち粉適量
ぬるま湯110ml

作り方:
1.まず小麦粉の計量を行う。このブログの著者が推奨する全粒粉の割合は普通の小麦粉6に対し4の割合である。この比率を確認しながら計量するには、薄力粉と強力粉を別々の容器で計量すると分かりやすい。
       普通の小麦粉   割り当てる全粒粉   合計
   薄力粉   93g     62g       155g
   強力粉   27g     18g         45g
それぞれまず最初に普通の小麦粉を入れて、次に全粒粉を加える。重さが上記の合計の数字になったことを確認する(写真1と2)。両方の粉を1つの容器に合わせてから、ドライ・イーストを加え(写真3)よくかきまぜる(写真3)。計量は数字をとり違えやすいので慎重に。花巻もパンの一種なので計量は1グラム単位で正確に行うこと。粉は篩わなくてよい。
2.合わせ終わった粉にぬるま湯110ml*を少しずつ注ぎながら菜箸でまぜる(写真4)。全粒粉のせいで固めの生地になる。そのまま容器内で両手で3分くらいしっかり捏ねる。最初はまとまりにくいが捏ねているうちに次第に形になってくる(写真5)。生地がしっとりしてきたら手を休める(写真6)。
*合わせるぬるま湯の量は、冬の乾燥期は多めに。晴れの日が続いた環境では、生地が固くなりすぎることが多いので、その場合はキッチンに加湿器を置いて作業することを勧める。

3.生地に濡れふきんをかぶせ常温で1時間半程度寝かせて発酵を待つ(写真7)。その間にねぎの準備をする。小ぶりの長ネギの緑色の部分1/3を縦に裂いてみじん切りに。小さなフライパンにごま油小さじ1を熱し、ねぎを軽く炒める(写真8)。ネギに熱が通ったら、別容器に移してとっておく。

4.生地の大きさが発酵前の2倍前後に膨らんでいれば一次発酵は終わっている。まだなら発酵時間を延ばす。容器に入れたまま拳骨を使って生地を上から押して空気を抜く。生地を取り出して捏ね板の上に置く(写真9)。生地を折りたたんで両手で板に力いっぱい押し付ける捏ね作業を3分間くらい繰り返す。


5.麺棒を使って生地を薄く延ばす(写真10)。長さ30センチ、幅18センチぐらいの、できるだけ矩形に近いものを作る(写真11)。生地の上にとっておいた炒めねぎを油を含めて戻し、手で出来るだけ生地の全面に広げる(写真12)。その上に五香粉を散らすと一層香りがよくなる。


6.生地を三つ折りにして畳む。写真13のように生地を1.2.の順に畳み、細長い形に成型する(写真13)。畳んだ生地の一番上の表面にごま油小さじ1程度を刷毛で塗る。畳んだ生地を2.5センチ程度の幅に切り分ける(写真14)。

 7.切り離した生地片を二つがさねにして置き、その上の生地片の中央に菜箸を平行にあて(写真15)、箸の両端を手で持って箸を生地片に押し込むように押し下げる。生地片の横の両側が上を向いたような形になったら箸を外す。生地片の縦の両端を手で持って持ち上げ、全体を手で引っ張るようにして、生地片の塊を2倍程度の長さに伸ばす。生地片を捏ね板の上に戻し、真ん中に菜箸を置きそこを折れ目に生地片を二つに折り重ねる(写真16)。箸を挟んだまま、生地片を持ち上げ、箸を1回ひねると花巻の形ができる。箸を抜いて捏ね板の上に戻す(写真17)。同じ作業を全部の生地片に対して行う。オーブン・ペーパーを5センチ角くらいに切ったものを生地片の数だけ作り、生地片をその上に並べる。

8.本格的な蒸せいろがなくても、写真のような簡易蒸し器を大きめの煮物鍋の中にセットすれば、蒸作業はできる。鍋の底に水を限度まで入れて火にかける(終始強火)。沸騰が始まったら蒸し器に生地片を並べて(写真18)蓋をし、10分間くらい蒸す(途中で蓋を取らないこと)。時間になったら蓋を取れば花巻の出来上がり(写真19)。このまま食卓に出せばよい(写真20)。

メモ:
花巻の名前の所以は出来上がりが花のように美しいからだが、家庭で中国の高級レストランのようにきちんとそろった形に作るのは難しい。生地片を最後にひねる作業次第で出来上がりが違ってくる。私はむしろそのような不ぞろいの花巻の方が素朴な感じがして好きだ。子供のころ中国で食べていたのもそんな花巻だったはずだから。

花巻は今回のレシピのように中華系のおかずに添えるご飯代わりとして作られることが多いが、ちょっとしたアレンジですごくおいしいお菓子パンあるいはデザートにもなる。その時は、材料からねぎを除外し、上記の作り方の2.の捏ねる前の段階で砂糖30g塩少々を加える方法もある(五香粉はそのまま使いたい)。そのほかいろいろなバリエーションが考えられるので、ぜひお試しいただきたい。

お断り:最初の材料欄の記述が分かりにくかったのでその一部を書き直しました(2022年10月21日)。品目、数量の変更はありません。