花ズッキーニのフリット、丸い果実のリピエノ、花のグラタン R#80

右上丸い果実の花ズッキーニ、左上、丸い果実で
作ったリピエノ、中は花のフリット、下は
細長い果実と花のポテト・グラタン
春から夏にかかてイタリアの代表的な野菜の一つ、花ズッキーニの料理がイタリアの食卓を飾ります。日本でも最近は花をつけた未成熟のズッキーニを料理用に出荷する農家が現れるようになりました。嬉しい現象です。果実の部分が普通の細長い形ではなく、丸い球形をした丸ズッキーニが手に入ったので、早速花のフリットと果実のリピエノ(詰め物)にしてみました。リピエノはまるで小さな宝石入れみたいに可愛くできました。ズッキーニの花が食べられるなんてご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、その美味しさは初めての方には想像もつかないでしょう。

その後今度はおなじみの細長い果実のついた花ズッキーニも手に入ったので、オーブンで焼く創作料理のポテト・グラタンも作ってみました。こちらの方が花の姿が見栄えするのでパーティ向きでしょうね。美味しさは保証付き。フェリックスのマッシュ・ポテトがお皿をなめたくなるほどおいしくなります。

花を調理するなんて滅多にない機会だったので、今回は十分な予備知識を仕入れておく必要がありました。雄花雌花の見分け方、雌蕊(めしべ)の取り除き方、破れやすい花びらの扱い方などです。おかげで、初めての体験でしたが、花ズッキーニの美味しさを十分に味わうことができました。レシピは雌花のズッキーニで書いていますが、果実が付かない花だけの雄花のズッキーニにも応用できます。見分け方などの詳細は下の「メモ」欄をごらんください。


材料
●丸い果実の花ズッキーニ●

写真1のようなの実のついた丸ズッキーニ   3個

[フリットの衣]
薄力粉 50g
ビール 75ml
オリーブオイル 大匙半
適量

[花の詰め物]
モッツアレラ・チーズ(シュレッド) 40g
パルミジャーノ・チーズ(粉) 大匙2
溶き卵 半個分
粗びき黒こしょう 適量

[丸ズッキーニのリピエノ]
パンチェッタまたはベーコン(みじん) 30g
溶き卵 半個分
シュレッド・チーズ(好みの種類) 30g前後
適量
粗びき黒こしょう 適量
細長いズッキーニの場合は量が変わります。ズッキーニの形状、作る形により適宜調整してください。

■細長い果実の花ズッキーニ■
[花ズッキーニのポテト・グラタン]

写真Aのような細長い果実の花ズッキーニ3個
フェリックスのインスタント・マッシュ・ポテト 110g
モッツアレラ・チーズ(シュレッド) 10g
オリーブ・オイル 大匙2
粗びき黒こしょう 適量
粗塩 適量

[花の詰め物]
リコッタ・チーズ 50g
モッツアレラ・チーズ(シュレッド) 20g
溶き卵 半個分
粗びき黒こしょう 適量


作り方:

●丸い果実の花ズッキーニ●
[花のフリット]
1.まず衣を作る。容器に薄力粉を入れ、ビール(炭酸水でもよい)を注ぐ。よくかき混ぜる。オリーブオイルと塩を加える(写真2)。多少のだまができていても構わない。器ごと冷蔵庫で半時間ほど寝かせる。

2.丸ズッキーニの場合は、軽く水洗いした後、包丁で花と果実を切り離す(写真3)。その時包丁を入れる位置を慎重に選ぶこと(上過ぎると花の底部に穴があく)。細長いズッキーニあるいは雄花のズッキーニ(茎だけで実がついていない)の場合は、切り離さず花と一緒にフリットにするのが普通。

3.次に花の中にある雄蕊または雌蕊を取り除く。写真4に写っているのは雌蕊。ズッキーニの花弁にはプリーツ状の襞(ひだ)があるので、それを広げると手を入れ易くなる。指の先で花の一番奥にある雌蕊をつまみ、引き抜くようにして取り出せばよい。

4.花の詰め物を作る。材料を器に入れよくかき混ぜる(写真5)。それをスプーンで適量花の中に詰める(写真6)。この時花弁の襞が破けやすいがあまり気にしないで良い。もし破けても、詰め終わったら、花弁の襞をひねって形を元に戻せばわからなくなる。

5.詰め終わったら、写真7の様に花弁の襞をひねっておくと中身が漏れにくくなる。1.の衣を冷蔵庫から取り出して、花の周囲にまぶす。好みで全体にまぶしても、花の上の方を(まぶさずに)残してもいい。

6.フライパンに深さ1センチくらいになる量のサラダオイルを入れ、加熱する。180℃くらいになったら、衣をつけたズッキーニの花を入れ、強火で揚げる(写真8)。カラっと仕上げるには、油の温度を下げないように火加減に注意。3から4分ぐらいで詰め物にも火が通るはず(写真9)。火を止め(紙で受けずに)、直接陶器の皿に移し、温かいうちに食卓へ(写真10)。

[丸ズッキーニのリピエノ]

7.丸ズッキーニの蓋となる部分を切り離す(写真11)。ペティナイフで丁寧に。

8.本体の部分の内側をギザギザのついたスプーンなどを使って刳り抜く(写真12)。刳り抜いた実はみじんに細かく切って詰め物に使う。

9.詰め物の中身を適当な容器に合わせる(写真13)。チーズは溶けやすいものを。刳り抜いた実は細かくみじん切りして詰め物に加える。最後に溶き卵を加え混ぜ合わす。丸ズッキーニの刳り抜いた穴に詰め物を詰める。

10.オーブン・トースターのトレーにオリーブ・オイルを垂らし(分量外)、詰め物をした丸ズッキーニを並べる(写真14)。蓋ははずしたまま一緒に加熱。

11.1KWのトースターを予熱。トレイを入れてから約15分くらいでズッキーニの一番硬い外側の皮が軟らかくなる(写真15)。楊枝の先が皮に楽にささることを確かめてよければ食卓へ(写真16)、まだならトースターに戻し数分程度再加熱。

■細長い果実の花ズッキーニ■


1.細長い果実の花ズッキーニを軽く水洗いする。果実に縦に包丁を入れ(写真B)、残りの半分は花とつながったまま、果実の縦半分を切り離す。花とつながったままの方はこのような状態(写真C)。花の中に指を入れて雌蕊を取り除く(写真D、↓のメモも参照)。

2.花の詰め物を作る。容器に花の詰め物の材料をすべて合わせよく撹拌しておく。


3.切り離した半分の細長いズッキーニの中身をギザギザのついたスプーンなどで刳り抜く。刳り抜いたズッキーニの実は大きめのみじん切りにしておく(写真E)。

4.フェリックスのインスタント・マッシュ・ポテト110gに70度Cの湯350mlぐらい(分量外)を少しずつ注ぎながら前半は箸、後半はスパチュラでかき混ぜ、マッシュ・ポテトを作る。全体が写真Fのようにしっとりとまとまるまで。できたら3.で作って於いたズッキーニのみじんに刻んだ実を加えて、スパチュラで混ぜる(写真G)。


5.グラタン皿の内側にバター(分量外)を塗り、4.のマッシュ・ポテトを平均に敷き詰める(写真H)。花の中に2.で作っておいた花の詰め物を適量詰める(写真I)。あまり詰め過ぎないよう注意。グラタン皿のマッシュ・ポテトの上にズッキーニの花を体裁よく並べ、モッツアレラ・チーズを散らし、オリーブ・オイルを振りかける(写真J)。


6.予熱あり180度Cのオーブン下段で20分焼いたものが写真K。細長いズッキーニの実の部分も、半分に縦割りしてあるので火が通っているはず。熱いうちに食卓皿に盛り付けすること(写真L)。

メモ:
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写真を一部加工しています

花ズッキーニの雄蕊(おしべ)と雌蕊(めじべ)は右のような形をしている。(人の手による受粉時の写真)。雄花にはその下に果実がなくて直接茎につながっている。その下に果実があるズッキーニの花は雌花。雌花の場合は、めしべを取り除く。雄花の場合はおしべを取り除くわけ。

ズッキーニの花は非常にデリケートなので、理想は入手したその日に調理するのが望ましい。保存は冷蔵庫で一晩が限度。上のレシピの写真は入手の翌日調理したもので、すでに僅かながら乾燥が始まっていた。オーブンで焼く間絶対に蓋をしたり、あるいはホイルをかけないこと。花が一瞬で縮んでしまう。

フェリックスのインスタント・マッシュ・ポテトはKALDIチェーン店の店頭でも手に入ります。

リニューアル情報:このレシピは2022年6月1日にそれ以前の「前菜、水菜と柿のサラダ R#080」と差し換えました。