ソフリートから作るピカディージョ R#030


ピカディージョってあまり耳にしたことがない料理名ですが、スペインのれっきとした家庭料理だそうです。簡単に言えば牛挽のスパイシー炒めでしょうか。恥ずかしいことに私も最近まで知りませんでした。我が家のベランダで育てているバジルが今年はとても元気なので、バジルの葉をまとめて使えるレシピを探していたら、この名前に巡り合ったのです。スペイン料理と言ってもスペイン国内だけでなく、スペイン語圏の多くの国々に伝わる伝統料理だとか。でも、ここで紹介しているバジルの葉を使うバージョンがどこの国から伝わったのかまでは、まだ突き止めていません。コスタリカではコリアンダーを使うのが一番ポピュラーらしいのですが、バジルはコリアンダーの代わりで使われることも多い食材なので、そのあたりが発祥地かも。ともかくピカディージョのおかげで、今やプランターを覆いかぶさるまでに茂ったバジルを、夏の酷暑で枯らしてしまう前に食べてしまえそうです。国境を越えてもピカディージョのメイン食材が牛挽肉というのは変わらないので、もしお作りになるなら少々高くても牛挽肉を外さないでください。幸いそれ以外がお安い材料ばかりなので総コストで言えば決して家計の負担にはならないでしょう。
ピカディージョの応用の一例:ピカめし

それに、ピカディージョの優れているところは、出来たものをいろんな食べ方に応用できるということです。単純にパンやごはんのおかずとしての他に、このレシピの最後で紹介しているピカディージョごはん(これが大好物の私の夫流に呼べばピカめし)、更にはサンドイッチやピタパン、タコス、ブリトーの具、トーストと目玉焼き卵に添えての朝ご飯、ハンバーガー用バンズに挟んでスロッピー・ジョー、ミートソース・パスタのソース代わり、スペインのバールでおなじみのタパタス・ブラバスにかけるソースとして、あるいはレンズ豆やひよこ豆の料理に加える...とキリがないくらい。
ピカディージョの応用の一例:
ピカディージョ・ブレックファスト

いろんな作り方があるピカディージョの中でもお勧めは、スペイン料理の基本であるソフリートから作るレシピです。ソフリートはこのブログの他のレシピで紹介しているイタリア料理の基本、アーリオ・オーリオ、フランス料理の基本、ミルポワとならぶスペイン料理の基本のきです(詳しくはR#049 ソフリートの作り方を参照)。これにお好みのスパイスを加えて、スペインのバールで出るタパスのあの味をいろんなバリエーションの料理で堪能してみませんか?


材料:(2~3人分)

ソフリート 下に記載の材料からできる量
牛挽肉 200g
バジルの葉 10~20枚くらい、好みで
白ワイン 大匙1
オリーブオイル 大匙1
黒オリーブ 5~6個
カエンペッパー 小匙1/4前後、好みで増減
タイム(乾燥) 小匙半
クローブ* 小匙1/4
クミン* 小匙1/4
ナツメグ* 小匙1/4
適量
粗びき黒こしょう 適量
2~3個(人数に合わせて)
*印のスパイスは全部をガラムマサラ小匙1で代用できる

[ソフリート]

_ダイストマト(缶詰) 150g(汁ごと)
_たまねぎ 中1個
_にんにく 1片
_パプリカパウダー 小匙1
_セロリ 1/5本
_オリーブオイル 大匙1


作り方

1.たまねぎ、セロリ,にんにくはみじん切り。黒オリーブ(種なし)はスライス。バジルの葉は調理する寸前に軽く水洗いして手で小さくちぎる。


2.まずソフリートを作る。小さめのフライパンにオリーブオイルを熱し、にんにく、たまねぎ、セロリを入れ(写真1)、かき混ぜながら5分ほどじっくり炒める。パプリカバウダーを加え、にんにくが焦げだす前にトマト缶の中身を数量分(汁ごと)注ぎ入れ、水分を飛ばしながら煮詰める(写真2)。水分の量が半分ほどに煮詰まったら(写真3)、ソフリートの出来上がり。火からおろし、
粗熱を取り、料理の次のステップのために、ソフリートを完全に冷ましておく。すぐに使わないときは、密閉容器にいれておけば1~2週間は冷蔵庫で保管できる。


3.ボウルにひき肉を入れ、完全に冷めたソフリートをフライパンから移して、両方をスパチュラまたは素手でしっかり混ぜ合わす(写真4)。写真5のようにすっかり混ざったら、ラップをして冷蔵庫で少なくとも1時間、出来れば一晩寝かせる。使う前に冷蔵庫から出してしばらく常温に置く(真夏はこのステップは不要)。


    4.フライパンにオリーブオイルを熱し、3.の挽肉とソフリートの混合物を入れてスパチュラでかき混ぜながら炒める(写真6)。白ワインを加え、強火にしてアルコール分を飛ばす。弱火にしてバジルと黒オリーブを加える(写真7)。タイム、クローブ、クミン、ナツメグを合わせたスパイス・ミックスを振りかけ、全体をよく混ぜる。塩・胡椒した後、最後にカエン・ペッパーを振りかけ、よく混ぜ合わせてから味見をする。足りないものがあれば追加する。良ければ火を落として(写真8)別皿に移す(写真9)。


    応用例:ピカディージョごはん
    炊きたてのご飯の上にできたてのピカディージョをのせるだけ。写真はポーチドエッグを付け合わせにしている。
    ピカディージョごはん


    メモ:
    この料理は焦げ付きやすいので手早くやることが肝心。材料はすべて下処理を終え、すぐ手の届くところに。このレシピで使っているのは日本でポピュラーな(辛くない)スイート・パプリカパウダー。もし辛いパプリカパウダーを使うならカエン・ペッパーは省略してもいい。

    ここに以前あったレシピ「家庭用オーブンで作る本格的ナポリ風ピザ」は削除しました。使用するオーブンによって出来上がりが大きく違うためです。ご了承ください。