オリーブ・オイルは神様の最高の贈り物!

オリーブ・オイルで健康・長寿

オリーブ・オイルを注ぐ
オリーブ・オイルはあらゆる食用油脂の中で最も健康的な食品です。というのも、オリーブの木の実という”果実”を絞って作られるただ一つの油だからです(殆どの他の食用油は植物の種子を絞ったものです)。オリーブ・オイルにはビタミンEとAが豊富で、老化を抑える抗酸化作用があります。不飽和脂肪酸であるオレイン酸とリノール酸の含有量が高く、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす効果があると言われています。また心臓病や認知症のリスクを高める畏れがあるトランス脂肪酸に関しても、オリーブ・オイルはキャノーラ油や胡麻油と並んで、トランス脂肪酸が最も少ない部類に入ります。オリーブ・オイルを多用する地中海沿岸諸国で、心臓病や肺、腸の癌が少ないのには、それなりの科学的な根拠があるのです。それに、なんといってもオリーブオイルの素晴らしさは、その香りと味にあります。ごく上質のオリーブ・オイルは、パンにつけて食べるだけで、最も贅沢な食事に匹敵するおいしさを味わえます。こんなにもすべてが揃ったオイルは他にはないでしょう。料理にオリーブ・オイルを使うことで、食事が一層おいしくなり、健康な体を手に入れることができます。ギリシャの言い伝えにあるように、こんな素晴らしいオリーブ・オイルはまさに神様の最高の贈り物なのです。


どんなオリーブ・オイルを使う?

オリーブ・オイル保存用陶器
オリーブの木は世界中に500種類以上あると言われています。オリーブの木は600年もの寿命を持つことができる植物です。長い寿命の間に、生育する土地、空気、気候、果ては世話をする農家の性格までが一本一本に異なった風味をもたらすとも言われています。良質のワインのように、上質のオリーブ・オイルにもテロワール(その畑特有の秘密)が影響するのかもしれません。地中海料理のレシピには、ぜひエキストラ・バージン・オリーブ・オイルを使ってください。エクストラ・バージン・オリーブ・オイルは一番搾りの果汁だけを使った、酸化率が1パーセント以下の純正なオリーブ・オイルです。私の家のキッチンにはエクストラ・バージン・オリーブ・オイルしか置いていません。揚げ物などのように量を多く使う場合も、比較的値段の安いエクストラ・バージン・オリーブ・オイルを使います。その理由はエクストラ・バージン・オリーブ・オイルでないと、オリーブ・オイルの本当の風味と健康成分を生かせないからです。このブログでは、特に断らない限り、レシピでオリーブ・オイルというときは、すべてエクストラ・バージン・オリーブ・オイルを指しています。


オリーブ・オイルのテイスティング

オリーブの木の枝と果実
好みに合ったオリーブ・オイルを選ぶ最良の方法は、ワインを選ぶときと同じ、テイスティングです。テイスティングのやり方はいろいろありますが、自宅でテイスティングできるときは、ワインとほぼ同じやり方でテイスティングします。小さめのグラスにスプーン一杯のオリーブ・オイルを静かに入れ、手の体温で温めます。オイルから登って来る香りを何回か吸い込み、香りを確かめたあと、口の中に注ぎ込み、そのまま、口を閉じて、舌と口蓋でオイルの持つ風味を味わいます。もっと簡単な方法は、平皿にオイルを垂らし、味の付いていないパンの切れ端を浸して食べてみるやり方です。茹でたじゃがいものスライスにオイルを垂らすという方法もあると聞いたことがあります。


最近はイタリア料理の材料の専門店などでオリーブ・オイルのテイスティングが出来る店が増えてきています。そのようなオイルは大抵の場合、上質(高価)な品種です。キッチンには、3段階のエクストラ・バージン・オリーブ・オイルを揃えておくことをお勧めします。 まず、ティスティングなどをして選んだ最上質のオイル---パンにつけて食べたり、特別な料理を作るときに少量ずつ使います。次に、中ぐらいの品質のオイル---サラダやドレッシング、ソースなどの味の決め手となる、重要な材料となります。そして、3番目は日常の料理にふんだんに使える、比較的安価ですが満足のゆく品質のオイルです。後の2つの段階のオイルは、お店の棚に並んでいる瓶詰の製品を幾つか買ってみて、その中から自分の気に入った産地、ブランドを見つけるようにします。ふだんの食事に合わせるテーブル・ワインを選ぶ時と同じような方法です。

オリーブ・オイルの産地について

いま世界のオリーブ・オイル生産の9割は地中海沿岸で行われています。その中でも、産地ごとにそれぞれ特筆すべき特徴があります。
イラスト:世界のオリーブ・オイル主要産地地図

世界最大の生産国はダントツでスペインです(年間82万トン、2012-13年)。2位のイタリア(49万トン)を大きく引き離しています。スペインのオリーブ・オイルは、最上品から普及品まであらゆるレベルの品質に分かれます。生産量のうちかなりの部分は、バルク(原材料)の形で海外に輸出され、大手業者の手で製品化され、そのブランドで流通していると言われていますが正確な統計はないようです。

イタリアのオイルは、地形や気候の複雑さを反映して、バラエティが非常に豊かなのが特徴です。トスカーナやリグリア産などのように、高品質のオリーブ・オイルの代名詞となっているものも少なくありません。イタリア産のオリーブ・オイルのほぼ半分は、アドリア海に面した温暖な州、プーリア州で生産されたものです。

3位のギリシャの生産量は35万トンで、1人当たりのオリーブ・オイルの消費量では世界一です。最高の食用オリーブと言われる、カラマタ・オリーブの産地を抱えるだけあって、ギリシャのオリーブ・オイルも高品質で知られています。

ギリシャの次にチュニジア、シリア、トルコと続きます。
日本の生産量は世界統計にも載らないくらいごくわずか。大部分は美容目的に使われているようです。

一方、オリーブ・オイルの輸入国としては日本は、米国、イタリア、ブラジル、カナダに次いで世界の第5位にランクされています。しかし国別の消費量では、世界の16位で、わずか4.2万トンに過ぎません。オリーブ・オイルのもたらす健康上のメリットと万能とも思える用途の広さを考えると、もっともっと増えていいはずです。

以上の統計データはInternational Olive Oil Councilの資料に基ずく