資料編~ハーフ・アンド・ハーフの作り方 R#046

<https://www.spendwithpennies.com/what-is-half-and-half-and-how-to-make-it/>
より引用


 ハーフ・アンド・ハーフという言葉は多数の方に耳新しいかも知れません。一言でいえば、生クリームと牛乳の中間の乳製品というところでしょうか。米国では日常的に使われている言葉のように思えますが、日本ではそういう製品があることがあまり知られていないようです。ハーフ・アンド・ハーフには、生クリームに比べ脂肪分が少ない、日持ちがする、料理に使いやすい、値段がやすいなどという違いがあります。特に加熱して作る料理に使うクリームとしては、生クリームより軽い味に仕上がる、長時間の加熱に耐える、色が黄色く変化しにくいという長所があり、クリーム系のパスタ・ソースの主材料として、あるいはグラタンやリゾット、クリーム・スープやシチューに大変重宝します。日本でも最近はいくつかのメーカーから下に掲げたようなハーフ・アンド・ハーフ相当品が出ていますが、残念ながら今一つ普及するまでには至っていないようです。私の家の近くの大手スーパーはしばらくこのような製品を売っていましたが、現在は扱っていません。担当の人の話では、いい製品なのに知っている人が少ないせいか売れ残ってしまう、ということでした。



 

 そういうことなら、ハーフ・アンド・ハーフを自分で作れないかと、いろいろネットで調べたりした結果、思ったより手軽に自作できることが分かったので、その作り方を紹介することにしました。具体的な作り方はこの下の「レシピを見る」をクリックしてご覧ください。ただその前に、ハーフ・アンド・ハーフとはどんなものなのか、他の乳製品とどう違うかという情報を知っておくのも無駄ではないと思い、もう少し説明を続けたいと思います。

お願い:ハーフ・アンド・ハーフをご自分で作る場合は、必ず低温殺菌された新鮮な牛乳を使用してください。生乳はリステリア菌などによる食中毒の危険があります。


ハーフ・アンド・ハーフって何?

その質問に答える前に↓の表をご覧になってください。米国と日本における、料理と製菓の見地から分類した乳製品の比較です。(一般的な呼び方で、法的なカテゴリによる分類ではありません。)「」内は商標名。

 乳脂肪率米国での呼び方 日本での呼び方 日本での製品
 30%以上 Heavy Cream 生クリーム* 多数あり
25~30%  Whipping Cream ホイップ・クリーム** 多数あり
 18~25% Light Cream*** コーヒー・クリーム**** 多数あり*****
 10~18% Half And Half 決まった呼び名なし 「料理がクリーミー」
「クリーミー・プラス
 3.5%前後 Whole Milk 牛乳(成分無調整) 多数あり
 1~3% Reduced Fat Milk 低脂肪牛乳 多数あり
 1%以下 Skimmed Milkスキム・ミルク  多数あり
上記の表には生クリームと牛乳を除き、植物由来の脂肪を含む製品を含みます。
*日本では生乳のみを原料とするものに限る。
**植物性脂肪を含み、ホイップが可能な製品を主として指す。
***Table Creamとも言う。
****無糖練乳とも言われる。 
*****雪印メグミルク製「エバ・ミルク」は生産中止。

 ハーフ・アンド・ハーフは半分半分という意味ですが、まさにその名の通り、生クリームと普通の牛乳の丁度中間にある存在です。ホイップ出来るほど乳脂肪を含んではいないけど、生クリームのあのコクは感じられる。それでいて比較的低脂肪、高熱、長時間の料理にも耐え、価格も安い。お料理の材料としては、生クリームよりこちらの方が優れていると思いませんか?このブログでは、ハーフ・アンド・ハーフ相当品(上記で紹介した市販品を含む)を使ったレシピをいくつも紹介しています。でも、材料が手に入らなければ意味がありません。そこで自分でハーフ・アンド・ハーフを作ってしまおうと言うわけです。


ハーフ・アンド・ハーフの原材料は?

家庭でハーフ・アンド・ハーフを作る場合、2つの選択肢があります。ひとつは生クリームと牛乳で作るもの。もう一つはホイップ・クリームと牛乳でつくるものです。当然後者の方が乳脂肪は低くなりますが、性質はより安定し日持ちも長くなります。味の方は、前者の方がクリーム本来のコクがより多く感じられ、美味しさも上といえるでしょう(好みにもよりますが)。どちらも泡立てる用途には使えません。お菓子を作るのには乳脂肪分が低すぎます。詳しくは後述のレシピをご覧ください。使用する料理によってどちらを選ぶかを決めたらよいでしょう。

何日ぐらい保存可能?

市販されているハーフ・アンド・ハーフ相当品(「料理がクリーミー」など)は原料に乳製品を長持ちさせる成分を加えているため長く、未開封なら1か月以上冷蔵保存がきくものがあります。家庭で手作りしたものは、そのような成分を含まないので、冷蔵しても1週間以内ぐらいには使い切ってください。その意味では生クリームと変わらない日持ちと言えます。でも、自作のハーフ・アンド・ハーフには、完成後の乳脂肪率を好みに合わせて変えることが可能という市販品にはない利点があります。冷蔵はなるべく3度Cぐらいの冷蔵室で。

...といった優れもののハーフ・アンド・ハーフをあなたもご自分でお作りになってみませんか。その作り方は↓の「レシピを見る」をクリックするとご覧になれます。


ハーフ・アンド・ハーフその1:生クリームと牛乳で作る

材料:出来上がり300ml。

使用する容器(ピッチャーなど)やマドラーは必ず熱湯消毒したものをお使いください。

生クリーム(乳脂肪分35%) 100ml
牛乳(乳脂肪分3.5%、成分無調整) 200ml
註:乳脂肪分の率は例示です。

作り方:


1.計量カップで生クリーム100mlを計り(写真1)ピッチャーに移す。
2.同様に計量カップで牛乳200mlを計り(写真2)ピッチャーに移す。
3.ピッチャーの中身をマドラーでかき回して混合させる(写真3)。
4.ハーフ・アンド・ハーフの出来上がり(写真4)。

例示の率の材料の場合、出来上がりの乳脂肪分は次のようになります。
生クリーム1単位(35%)+牛乳2単位(3.5%)=(35+7)/3=14%
乳脂肪分14%のハーフ・アンド・ハーフが300mlできた計算になります。もっと高脂肪の生クリーム(45%など)を使えば、より濃厚なハーフ・アンド・ハーフを作れますが、ハーフ・アンド・ハーフを作る趣旨からするとあまり意味がないかも知れません。

使う料理によっては(クリーム・シチューとかクリーム煮など)むしろ牛乳の量を増やす(たとえば300ml)方が実際的です。300mlだと出来上がりの脂肪分が11%となり口当たりが軽くなるので、その分応用範囲が広がります。

逆に牛乳の量はそのままで脂肪分の高い生クリームと合わせる必要がある料理もあります。このブログで紹介している番外編:1バター餅がそれです。これには以前「エバ・ミルク」を材料として紹介していましたが、最近生産中止になったのでその代替えとして自作のハーフ・アンド・ハーフを勧めています。この場合は45%以上の高脂肪生クリームを使うか、牛乳の量を減らしてください(材料の濃度が低いとバター餅の場合、中央が固まらないことがある)。比率等はそのレシピに記載してあります。

ハーフ・アンド・ハーフその2:ホイップ・クリームと牛乳で作る

材料:出来上がり300ml。

使用する容器(ピッチャーなど)やマドラーは必ず熱湯消毒したものをお使いください。

ホイップ・クリーム(乳脂肪分25%) 100ml
牛乳(乳脂肪分3.5%、成分無調整) 200ml
註:乳脂肪分の率は例示です。

例示の率の材料の場合、出来上がりの乳脂肪分は次のようになります。
ホイップ・クリーム1単位(25%)+牛乳2単位(3.5%)=(25+7)/3=11.7%
乳脂肪分約12%のハーフ・アンド・ハーフが300mlできた計算になります。

作り方は上の生クリームの場合と同じですので省略します。前にのべたように、ホイップ・クリームで作ると、その材料の植物由来の脂肪のせいでクリームらしいコクはなくなるか、あるいはかなり減ります。そのかわり低カロリーでダイエット向き、高熱に対しても安定度がより高まります。要はハーフ・アンド・ハーフを使う料理の性質に応じて使い分ければいいわけですね。理論的には、このハーフ・アンド・ハーフの方が日持ちもよくなるはずですが、実際にはこの作業のために材料が空気にふれており、また保管に密封が難しいので、生クリームの場合と同様一週間以内には使い切ってください。

市販のハーフ・アンド・ハーフ相当品については、下記のサイト参照。タカナシ乳業にはウェッブ・ショップあり。この↓にタカナシ乳業の「クリーミー・プラス」の楽天アフィリエイト広告があります。

料理がクリーミー 雪印メグミルク
クリーミー・プラス* タカナシ乳業
*商品名が「クリーミー・フレッシュ」から「クリーミー・プラス」に変更になった。

リニューアル情報:このレシピは2020年5月18日に全体を差し替えました。