おもてなしレシピ~地中海沿岸のドライ・フルーツたっぷりのシュトーレン R#051

 

毎年クリスマスの季節になると、わが家ではシュトーレンを作ることにしています。ご存知のようにシュトーレンは主にドイツの家庭で作られるクリスマスのお菓子ですが、今年はこのブログに合うように、地中海沿岸諸国産のドライ・フルーツをたくさん練り込んだフルーツ・シュトーレンにしてみました。このケーキに使ったアーモンドはスペイン産、アプリコット、乾燥白いちじく、ピスタチオ、サルタナ・レーズンはトルコ産です。そういえば、キリストが生まれたイスラエルも地中海に面した国でしたね。シュトーレンは日持ちがするので、ドイツではクリスマスの1か月半くらい前から作り始めるとか。大きなシュトーレンを作っておけば、少しずつ切り分けながら長い間楽しめるので、合理的な倹約家が多いいかにもドイツらしいお菓子です。最近は日本でも、今の季節になると出来合いのシュトーレンを並べているケーキ屋さんやパン屋さんが増えてきました。でも、殆どはフィリングはラムレーズンだけ。このシュトーレンのようにふんだんにドライフルーツやナッツを練り込んだシュトーレンには滅多にお目にかかりません。地中海沿岸の美味しい果物を連想しながら召し上がれば、きっとより楽しいクリスマスになるでしょう。ぜひ自家製のシュトーレンに挑戦してみてください。



材料:長さ23センチ、幅16センチ、高さ5センチ、重さ800gのシュトーレン1個、または長さ15センチ、幅10センチ、高さ4センチ、重さ400gのシュトーレン2個を作る量

強力粉                     225g
薄力粉150g
練り込み用無塩バター75g
ドライ・イースト8g
グラニュー糖60g
精製塩小匙1
シナモン・パウダー小匙1
カルダモン小匙1
クローブ小匙半
ナツメグ・パウダー小匙半
牛乳100g
溶き卵1個半分
仕上げ用無塩バター適量
粉糖適量
[フィリング]
_カシューナッツ40g
_ピスタチオ(註1)10g
_アーモンド・スライス10g
_乾燥白いちじく40g
_ドライ・フルーツ・ミックス(註2)100g
_フィリング浸け込み用ラム酒             50ml
註1:殻と渋皮を取り除いた状態での重さ
註2:好みの組み合わせで。今回使ったドライ・フルーツは、アプリコット、サルタナ・レーズン、グリーン・レーズン、クランベリーなど

作り方


1.カシュー・ナッツとピスタチオの実(殻のまま軽くローストしてあるものは殻から取り出し、出来る限り渋皮も取り除く)は、別々にポリ袋などに入れ、金槌などで叩いて小さい塊に砕く。乾燥いちじくの実が大きいときは、5ミリ角くらいに切り分ける。そのほかのドライ・フルーツも大きな塊があれば、包丁で細かく切る。フィリングの材料全部の大きさが写真1のようにほぼ揃っていればよい。琺瑯かガラスのボウルにフィリングの材料全てを入れ、浸け込み用ラム酒を注ぐ。フィリングはできれば3日ぐらい前から、少なくとも一晩ラム酒に浸けたまま常温で保管してから使う(途中一日1,2回上下をひっくり返す)。フィリングに吸い込まれずに容器の底に残ったラム酒は生地に混ぜないこと。

2.練りこみ用バターは常温に置いて軟らかくしておく。牛乳はレンジで40度ぐらいに温めておく。仕上げ用バターは液状になるまで電子レンジなどで溶かしておく。

3.琺瑯か耐熱ガラスのボウルに強力粉、薄力粉、塩、砂糖、シナモン、カルダモン、クローブ、ナツメグを入れ、よく混ぜる(写真2、粉を篩っておく必要はない)。

4.小さな容器に溶き卵と40度に温めた牛乳を入れて混ぜ、さらにドライ・イースト(予備発酵なしで直接粉に加えられるタイプのもの)を加えよく混ぜる(写真3)。このとき多少ダマが出来ていても心配ない。


5.4.の合わせ液を3.の粉のボウルに加えて混ぜ(写真4)、粉っぽさがなくなったら手で捏ねてゆく(写真5)。全体になめらかになってきたら、練りこみ用バターを少しずつ加えながら捏ね上げてゆく。バターの塊が完全に消え、生地をひっぱると薄く伸ばすことができ、表面がつるんとした状態になっていれば、捏ね上がり(写真6)。さわるとまだベトベトしている。

6.1.のフィリング(固形分のみ)を両手で絞ってから生地に加え、全体に平均に行き渡るように練り込む(写真7)。フィリングの水分が多すぎると発酵失敗の原因となるので、しっかり絞ること。

7.生地をボウルに入れたままラップをかけ、オーブンの発酵機能を使って35度で70分間一次発酵させる(写真8)。



8.一次発酵が終わったら(写真9)、フィンガー・テストを行う。打ち粉を付けた指を第二関節まで生地にさして生地の戻り具合を見る。穴が開いたまま元に戻らなければよい。生地をボウルから板などの上に移し、生地の周囲を軽く手のひらで叩き空気を抜く。次に、生地の上に固く絞ったぬれふきんをかぶせ、20分間温かい部屋(20度前後)で休ませる(写真10)。


9.生地をぬれふきんの上から麺棒で丁寧に延ばす。厚さが1.5センチ乃至2センチくらいになるまで(写真11)。ぬれふきんを外して(写真12)生地の片端をスケッパーなどで持ち上げて内側に折り込む。さらに反対側の端を持ち上げて他方の上に被せるように重ねる(生地が三つ折りになる、写真13)。この段階の作業は生地がべとついているのでかなりやりにくい。シリコンかプラスチックのスケッパーがあると助かる。



10.オーブンの角皿にオーブン・ペーパーを敷き、その上に三つ折りの生地を載せ、軽く霧吹きで水分を吹きかけてからオーブンの下段に入れ、40度で50分間二次発酵を行う(写真14)。発酵が終わったら更におおきくふくらんでいるはず(写真15)。オーブンから取り出しぬれぶきんをかけて10分程度休ませる。

11.オーブンを180度で予熱し、角皿に載った生地を(写真16)オーブンの下段にセットし、25分ないし30分焼く(時間はその時の室温、生地の温度により変動する)。


12.表面にごく薄い焦げ目がついていれば焼き上がり(写真17)。焼き足りない場合は、180度予熱なしでそのまま5分程度続けて焼く。

13.焼き上がったら、表面全体に用意しておいた仕上げ用バター(溶かしバター)を刷毛で塗る(写真18)。

14.熱が冷めたら、篩いを使って粉糖を隙間なくかける(写真19)。シュトーレンは出来てすぐよりも、3,4日たってからがおいしい(写真20↓)。かなりきついラム酒が入っているので、このケーキは子供には向かない。シュトーレンは日持ちするのでパン保存用のポリ袋の中に密閉しておけば、1か月以上常温で保存できる。


メモ
ピスタチオの渋皮はできるだけ残さないように。残っていると生地の中に遊離して出来上がりの味を損なう。ラム酒の量は好みで加減できるが、最低でも50mlは使いたい。乾燥いちじくの細かい種がブツブツと口の中に残ることがある。気になるようなら別のドライ・フルーツを使って。品質上は全く問題ない。

リニューアル情報:このレシピは2020年5月30日に出来上がり写真を差し替え、調理中の写真(スライド・ショーの写真と同じ)をレシピの文面に追加しました。2022年11月14日に作り方の一部を変更(ラム酒の量を減らした)しました。また、スライド・ショーを削除しました。