イタリアではボッリート・ミスト、国境を越えたフランスではポトフとして知られる料理です。どちらかといえば、寒い冬に食べたい料理なので、イタリアでも北の方でよく作られているようです。作り方はイタリアでもフランスでも殆ど同じ。肉は北イタリアでは牛肩肉やオックス・テール、鶏の骨付きもも肉など何種類かの肉を混ぜて使うことが多いようですが(ミストは混合したの意)、ここではフランス風に(入手しやすい)牛のもも肉とソーセージだけを使っています。ソーセージは、ハーブや香料を多く使ったサルシッチャよりも、淡白なフランクフルト・タイプの方が合います。この料理のポイントは2つ。ひとつは野菜(キャベツを除く)をどれも元の形のまま形を崩さずに最後まで仕上げること。形はそのままなのに、味は野菜ひとつひとつの芯まで滲みているんです。そしてもうひとつは、コンソメのように澄んだスープ(写真→)。
なお、リニューアル前はここには料理途中で野菜をいったん取り出す作り方を掲載していましたが、そのような手間をかけなくても野菜が崩れないように調理出来る方法が分かったので、野菜を取り出さずに一貫して調理する方式に変更しました。
材料:5人分(なるべく一度に多く作る)
牛もも肉(肩肉でもよい)ブロック | 7~800g |
ソーセージ(フランクフルト・タイプ) | 5本 |
キャベツ(小さめのもの) | 1個 |
たまねぎ | 5個 |
じゃがいも | 5個 |
にんじん(小さめのもの) | 3本 |
セロリ(茎のみ) | 1本 |
にんにく | 1片 |
ローリエ | 3枚 |
赤ワイン | 適量 |
黒粒こしょう(ホール) | 10粒 |
チキン・ブイヨン(顆粒:6g/袋) | 4袋 |
オリーブ・オイル | 大匙2 |
塩 | 適量 |
粗挽き黒こしょう | 適量 |
ローズマリーの枝 | 2本 |
作り方:
2.じゃがいもは包丁を使って丁寧に皮を剥く。にんじんは表面を包丁でこそぐように削って滑らかにし(写真3)、1本を3つぐらいに切る。たまねぎも皮をとり、上下の固い部分は切り取っておく。この時の切り方でたまねぎが最後まで形が崩れないか決まるので写真4を参考に慎重に切る。セロリは5センチぐらいの長さに切る。キャベツは最も固い芯だけを切り取るが、大部分の芯は残したまま6等分する(芯を取りすぎると形が崩れるので注意)。
3.一つまみの塩を入れて沸騰させた湯の中ににんじんだけを入れ茹でる。にんじんに竹串がようやく5ミリほど入るくらいになったら(写真5)、そこへじゃがいもを加えて更に沸騰させる。じゃがいもも同様に竹串がやっと5ミリほど入るくらいになったら、鍋の中身を全部ザルにあける。それ以上茹でないように。
4.フライパンにオリーブ・オイルをひいて、牛肉とローズマリーを入れて肉の外側を軽く炒める(写真6)。両面ともに色が変わったら、肉とローズマリーを取り出す。蓋つきの煮込み用両手鍋に牛肉と肉汁を移す。たまねぎ、じゃがいも、にんじん、セロリ、ソーセージを両手鍋に加え(写真7)、1.2リットルの湯に溶いたチキン・ブイヨン(顆粒、3袋18g=マスコット「オーネ」ブランドの場合)を注ぎ(写真8)、塩小さじ1を入れたら強火にかける。
5.3.の鍋が沸騰したら弱火に落とし、表面に浮かんでいるアクがあれば丹念に取り除く(写真9)。黒粒こしょう、ローリエ、にんにく(かたまりのまま)を入れ、蓋をして弱火で煮込む。決して再沸騰させないこと。肉が固くなってしまう。野菜の煮え具合を竹串などで確かめる。にんじんとじゃがいもは竹串が中心まですっと通れば煮えている。たまねぎの煮え具合を確かめるには、固い部分を切り取った切り口に竹串を刺して、スッと通ればよい。スープの味見をして、必要なら塩とこしょうを適量足す。
6.鍋の中の一番火が通りにくいにんじんが、竹串が楽に通るくらい煮えていることが確認されたら(その時点で肉には充分火が通っているので)、最後にキャベツを加える(写真10)。蓋をして弱火のまま短い時間蒸し煮にする感じ。キャベツを入れてからあまり長く火にかけないこと。キャベツが崩れてスープが濁る。キャベツにまだ緑色が残っているうちに(写真↓11)、火を止める。野菜の形を崩さないように注意しながら皿に取り分けて食卓に出す。(イタリアでは鍋のまま食卓に出すことも多い。)小皿に入れたサルサ・ベルデを添える。
この料理に使う牛肉は高価なものは必要ない。むしろ赤身の多い輸入牛肉の方がよいだしが出るし、余計なサシから出る油でスープが重くなることもない。輸入牛肉の活用を強くお勧めする。なお、輸入肉の場合、前日から赤ワインに浸すのは必須だが、その量は肉の固さ、部位、厚さ等によって変わるので材料の欄では「適量」と記載した。「浸す」という言葉を使ったが、むしろ「まぶす」といった気持ちで肉表面にからめる程度が適量。肉が一部でもワインの中に浸かってしまうほど多いと、ワインの風味が強すぎて出来上がりの味を損なうので注意。
リニューアル情報:このレシピは2020年4月4日にリニューアルしました。出来上がり写真を変更した他、作り方も途中で野菜を取り出さない方式に変更、調理途中の写真も追加しました。