あじのエスカベッシュ、ヴェネツィア風  R#009

あじのエスカベッシュ、ヴェネツィア風

こがれの水の都ヴェネツィアがあるヴェネト州の名物料理はイワシのサオール。そのレシピをあじに応用したのが、この料理です。このレシピのリニューアル前の材料はマイワシでした。それをあじに変えたのは、イワシの漁獲高が年によって変動が激しく、近くのスーパーや魚屋さんにしばらく見かけなくなることも珍しくないから。その点イワシと同じ青魚のあじは、ほぼ年間安定して入荷するようで、手に入れやすいのが強みです。どちらもDHAやEPAが豊富に含まれており、がん細胞の増殖を抑える働きが期待できるそうです。魚をもっとたべたいけど下ごしらえが苦手という方は、魚屋さんに頼んで三枚におろしてもらいましょう。最近はスーパーの売り場でも無料で引き受けてくれるところが多いようです。その時は、「ムニエル」あるいは「バター焼き」にしたいので、と言うことをおわすれなく。あじ特有のぜいごはもちろん、腹骨や血合いの骨も丁寧に取ってくれます。

 

マイワシのエスカベッシュ、ヴェネッィア風

イワシほどではなくてもあじにも青魚特有の臭みがあり、それを消すにはお酢を使うのが定石です。ヴェネト州のサオールはワイン・ビネガーとライムを使い、グリルしたイワシをそのマリネ液にしばらく漬けておきます。あじの場合は、グリルしたてのあじにマリネ液をかけるだけで、美味しく食べられるので待つ必要がありません。松の実やレーズンも魚臭を抑えるのに役立っています。→の写真はリニューアル前に載せていたマイワシの酢漬け、ヴェネツア風です。魚が変わるだけで作り方は全く同じ。違いはマイワシの方はグリルした後、マリネ液に半日ぐらい漬けた方が美味しい(イワシ臭さが減る)という点だけです。どちらも前菜あるいはカナッペの具、タパスとしても通用する料理です。あじは小さめの方が味がいいということも覚えておくと役立ちます。



材料:前菜として4人分

あじ(中ぐらいのもの、イワシなら大きめ) 4尾
オリーブ・オイル 大匙2
強力粉 適量
海塩 適量
[マリネ用ソース]
_たまねぎ 中1個
_レーズン 70g
_白ワイン 大匙2
_白ワイン・ビネガー 大匙1
_グラニュー糖 小匙2
_松の実 20g
_オリーブ・オイル 大匙1半
_ライムの絞り汁 大匙1


作り方:(イワシ場合は「あじ」を「イワシ」に読み替えてください)


1.あじは3枚におろす(魚屋さんでやってもらってもいい、写真1)。たまねぎは半分に切り、繊維を断つ方向に薄切り。レーズンはさっと湯に通し、ザルにあげて、水気をきっておく。松の実はフライパンで乾煎りし、薄く焼き色をつける(写真2)。

2.マリネ用ソースを作る。フライパンにオリーブ・オイルを大匙1半入れ、熱したらたまねぎを中火で炒める(写真3)。


3.たまねぎに火が通ったら、レーズン、グラニュー糖、白ワイン、白ワイン・ビネガー
を加えて混ぜる。強火にしてワインのアルコールを飛ばし、ライム汁、松の実を加える(写真4)。フライパンの中味すべてを別容器に移す。

4.あじを流水でよく洗い、水気をよく拭き取ってから、あじの両面に海塩を振り、強力粉をまぶす。粉の量はフライパンで魚の切身を焼くときよりもやや多めに(写真5)。但し、フリカッセを作るときほど多くしない。余分な粉ははたき落とす。

5.別のフライパンにオリーブ・オイル大匙2を入れ、熱したら4.のあじを皮目を下にして並べて焼く(写真6)。


6.途中から強火にして両面に軽く焦げ目をつける(写真7)。焼き上がったら、あじをやや深みのある大皿に移し、3.のマリネ用ソースを、あじがまだ熱々のうちにかける(写真8)。(イワシを使った場合は、そのまま常温で半日置いてソースの味をなじませる。)銘々皿に取り分けるとき、マリネ用ソースのたまねぎ、レーズン、松の実をあじの上に飾り、残りのソース液をかけて食卓に出す。


メモ
ライムの代わりにレモンの絞り汁でもよい。その場合はやや少なめに。イワシをマリネ用ソースに浸けておけるのは半日まで。それ以上長く漬けておくと固くなってしまうので、作るときは食べるタイミングを考えて。

リニューアル情報:このレシピは2020年5月16日に主材料のマイワシをあじに変更、見出し写真を差し替え、調理途中の写真を追加しました。2023年7月2日にタイトルを「あじのマリネ、ヴェネツィア風グリル」から「あじのエスカベッシュ、ヴェネツィア風」に変更しました。