スペイン料理になくてならない調味料といえば、なんといってもパプリカ(パウダー)でしょう。チョリソー・ソーセージからタパスやアヒージョ、そして卵の目玉焼きにまでパプリカが使われるそうです。スペイン語ではパプリカはピメントン(ハンガリー語でパプリカはピーマンの意だとか)。カラー・ピーマンのパプリカとの混同をさけるためにスペインではピメントンと呼ばれることが多いようです。ピメントンの赤い色は、タンドリーチキンのように料理の色付けに使われるだけでなく、布を染めるのにも使われるそう。ハンガリーのパプリカ同様、スペインのピメントンにもスイート(ドゥルセ)、中辛(アグリドゥルセ)、大辛(ピカンテ)があるのだとか。”そうです”とか”だとか”という表現が続いて済みません。私はスペイン語は全くできないので、私の夫にリサーチしてもらった内容を受け売りしているだけですので。日本のスーパーなどの香辛料売り場に並んでいるのは、ほとんどの場合、スイート・パプリカです。独特の香りと風味はありますが、全く辛くないのでお子さんにも安心して使えます。そのパプリカをたっぷり使ったレシピがこれ。ひよこ豆とほうれん草は南スペイン料理によく登場します。かって南スペインがアラブ系のムーア人に支配されていた名残りかもしれません。それにカラー・ピーマンやりんごを合わせてみました。スペインのりんご(北スペインが主産地)はエンパナダ・マンサーナ(りんごのパイ)の材料として家庭料理に欠かせないとか。ここで使ったのは国産のりんごですが、スペインの南と北の味の出逢いがどんなものかを偲べれば、こんな試みも悪くないでしょう。ピメントンをたっぷり使って、スペインらしさ横溢のスペイン料理を堪能してください。
材料:2人分
ひよこ豆(缶詰) | 100g |
ほうれん草(冷凍) | 100g |
パプリカ(カラー・ピーマン、小さめ) | 赤、黄各1個 |
ベーコン | 50g |
りんご(中) | 半個 |
パプリカ・パウダー(ピメントン) | 大匙2 |
たまねぎ(中) | 半個 |
黒オリーブ | 数個 |
にんにく | 2片 |
パン粉(なるべく粗目) | 50ml |
シェリー酒 | 大匙1 |
オリーブ・オイル | 大匙2 |
カイエン・ペッパー | 小匙1 |
チリ・パウダー | 小匙1 |
粗塩 | 適量 |
粗びき黒こしょう | 適量 |
作り方:
1.ひよこ豆(すでに戻し済みですぐに食べられるもの)は缶から出して、キッチン・ペーパーで水気をきる。パプリカはへたと種を除き、小さめの角切り(写真1)。たまねぎ半個は薄切り。りんごは皮を剥き、半分をさらに縦半分の大きさに切り、それぞれを横に薄く櫛形切りにする(写真2)。ベーコンは厚切りのものを選び、短冊形に切る。オリーブは種を除き、薄切り(写真3下)。ほうれん草は冷凍もの(3~4センチぐらいにざく切りにして冷凍してある筈)をそのまま使う(写真3上)。にんにくは薄切り。パン粉はできれば自家製で古いパンを砕いたものを使いたい(乾燥したパンをフッドプロセッサーなどで粗目に砕く)。
2.小さめのフライパンにベーコンを入れて加熱、火が通ったらパン粉を入れ(写真4)かき混ぜながら炒める。ピメントンを加え、素早く混ぜてから火を消し(写真5)、そのまま冷ましておく。
3.別の大きめのフライパンにオリーブ・オイル大匙2を入れ、にんにくとたまねぎを炒める(写真6)。にんにくの香りが立ってきたら、ひよこ豆、パプリカ(カラー・ピーマン)、りんご、黒オリーブの順に加えて木へらで混ぜながら炒める。最後に冷凍のほうれん草を(解凍しないで直接)フライパンに入れる。ほうれん草がしんなりしたら、シェリー酒を注ぎ、カイエン・ペッパーとチリ・パウダーを振り入れ、味をみて塩こしょうする(写真7)。
4.2.で冷ましておいた小さなフライパンの中身を大きなフライパンに移し、かき混ぜる。火を消して、耐熱のオーブン皿かキャセロールにフライパンの中身を全部移す(写真8)。
5.オーブンのグリル機能を使って予熱あり10分間くらいグリルすれば出来上がり。
メモ:
最後にグリルするのは、パン粉が吸い込んだ水分を飛ばすため。ピメントンは焦がすと苦みが出るので、焦げ目がつくほど長くグリルしないこと。シェリー酒がなければ甘口の白ワインで。この料理に使うりんごはなるべく固い、酸味があるものの方が向く。