おもてなしレシピ~イベリコ豚のミラノ風コトレッタ、サラダとクスクス添え R#81

イベリコ豚のヒレ・ブロックが手に入ったので、さっそく食事会のメイン料理に使ってみました。コトレッタ(カツレツ)だけでは、メインとしてインパクトが弱いので、その下に味付けしたクスクスを敷き、上には紫チコリやラディッシュで作ったサラダを飾っています。本来のコトレッタ・アッラ・ミラネーゼは仔牛肉を薄く伸ばして少量のオリーブ・オイルで炒め揚げするのですが、それをイベリコ豚のヒレに代えてみたわけです。もちろん、このレシピはふつうの豚ヒレ・ブロックにも通用します。イベリコ豚は放牧されていることが多いので、一般に肉質は固めですが、それをエスカロープみたいに薄く伸ばしたせいか、食事会では軟らかいと好評でした。イタリアではフライ物を揚げるときは、日本のとんかつや天ぷらのようにたっぷりした油の中で揚げることはありません。オリーブ・オイルをフライパンに多めに敷いた中で、両面を炒めるようにして蒸し焼きにするだけです。食用油の中で一番沸点が高いオリーブ・オイルなので、それでも十分に火が通ります。そのためにパン粉も細かいものを使
い、衣も薄いので、ふつうのフライ物より健康的だといえるでしょう。この方法は肉類だけでなく、魚の切り身などにも応用できます。同じ揚げ方をしている、このブログの他のレシピも参考にしてみてください。

クスクスは、小麦粉から作るパスタの一種ですが、地中海沿岸諸国では大変ポピュラーな食材です。昔は家庭で手作りで作っていたそうですが、今は市販の出来合いを使えるので大変手軽になりました。熱湯をそそいで10分ほど蒸すだけで食べられるようになります。でも、クスクスは本来これ自体だけで食べるよりも、今回のように、他の料理の下に敷き、その味を滲み込ませて”移り味”を楽しむことに向いた食材だと思います。

なお、イベリコ豚のヒレ肉の入手が難しい時は、ロースのブロックを使うか、それもなければ国産の豚ヒレでも。

花ズッキーニのフリット、丸い果実のリピエノ、花のグラタン R#80

右上丸い果実の花ズッキーニ、左上、丸い果実で
作ったリピエノ、中は花のフリット、下は
細長い果実と花のポテト・グラタン
春から夏にかかてイタリアの代表的な野菜の一つ、花ズッキーニの料理がイタリアの食卓を飾ります。日本でも最近は花をつけた未成熟のズッキーニを料理用に出荷する農家が現れるようになりました。嬉しい現象です。果実の部分が普通の細長い形ではなく、丸い球形をした丸ズッキーニが手に入ったので、早速花のフリットと果実のリピエノ(詰め物)にしてみました。リピエノはまるで小さな宝石入れみたいに可愛くできました。ズッキーニの花が食べられるなんてご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、その美味しさは初めての方には想像もつかないでしょう。

その後今度はおなじみの細長い果実のついた花ズッキーニも手に入ったので、オーブンで焼く創作料理のポテト・グラタンも作ってみました。こちらの方が花の姿が見栄えするのでパーティ向きでしょうね。美味しさは保証付き。フェリックスのマッシュ・ポテトがお皿をなめたくなるほどおいしくなります。

花を調理するなんて滅多にない機会だったので、今回は十分な予備知識を仕入れておく必要がありました。雄花雌花の見分け方、雌蕊(めしべ)の取り除き方、破れやすい花びらの扱い方などです。おかげで、初めての体験でしたが、花ズッキーニの美味しさを十分に味わうことができました。レシピは雌花のズッキーニで書いていますが、果実が付かない花だけの雄花のズッキーニにも応用できます。見分け方などの詳細は下の「メモ」欄をごらんください。

ビーツとりんご、くるみのシュガー・ソテー、ギリシャ・ヨーグルト添え R#079


これも前菜として作った一品ですが、それだけで立派にデザートとして通用します。これまでビーツってサラダかボルシチの素材にするくらいで、あまり応用がきかない食材だと思っていましたが、私の夫のアイディアでりんごとくるみと一緒に炒めてみたら、とてもおいしい逸品が誕生しました。それに、濃厚なギリシャ・ヨーグルトとの相性が抜群なのです(これも夫のアイディア)。ビーツの原産地は地中海沿岸で、イタリアでははリゾットやパスタの具としてもよく使われるとか。
最近は日本のスーパーでも生のビーツを見かけることがあります。このレシピで使ったのは水煮缶詰めですが、近いうちに生のビーツを使うレシピを試してみようと考えています。ギリシャ・ヨーグルトは普通のヨーグルトから水分を抜いたもの。ヨーロッパ随一の健康長寿の国、ギリシャでならではの健康食品です。食べるときは、ヨーグルトごとよくかき混ぜてお召し上がりください。

デイリー・レシピ~前菜、マグロのカルパッチョ、ポキ風 R#078

今回のレシピと次の2回は、食事会の前菜として作ったものですが、日常の食事にも気軽に作れるものなので、デイリー・レシピとして紹介します。ポキはもうハワイの郷土料理として知らない方もないくらいだと思いますが、それを少しアレンジしてイタリア風の前菜にしてみました。マグロは安価なめばちマグロか、きはだマグロ、びんちょうマグロの方がカルパッチョに向きます。それもできるだけ赤身のものを。トロっぽいものは、カルパッチョには合いません。ハワイの伝統的なポキと違うところは、オリーブオイルとごま油を使っていることと、カシューナッツがアクセントになっていることです。チャイブや茹でたおかひじきなどをあしらえばもっとイタリアンになるでしょう。出来上がり前に素手でしっかり混ぜましょう。箸などで混ぜても美味しくできません。前菜としてではなく、ごはんのおかずとしても、あきがこない、繰り返し使えるレシピです。

おもてなしレシピ~パンナコッタを洋梨の赤ワイン煮に添えて R#77

久しぶりにドルチェを作ってみました。パンナコッタはイタリアの代表的なデザートですが、日本では滅多にお目にかかれないような気がします。材料も手に入りやすいし、作るのも簡単、そしてなによりも口当たりが清々しく、さっぱりとした甘さで万人向きだとおもうのですが、なぜか人気が出ないのは不思議ですね。今回は今の季節に沢山出回っている洋梨の赤ワイン煮と合わせてみました。でも主役は洋梨ではなく、パンナコッタなんです。なぜって、洋梨の赤ワイン煮はよく知られているので、パンナコッタをもっと作って貰いたいから。それに、このブログは地中海料理のブログですもの。パンナコッタだけを作る場合は、一人分ずつ小さめのカップに流し込んで固める方が扱いやすいです。パンナコッタとはイタリア語で生クリームを熱するという意味だとか。材料は生クリーム、グラニュー糖、板ゼラチン、バニラ・オイルのたった4品だけ。たったこれだけの材料でこんなに美味しいものを考え出すなんて、本当にイタリア人には美食の遺伝子が伝わっているのかもしれません。なんといっても、あのアイスクリームを発明したのもイタリア人ですからね。

ここで洋梨について一言。最近は洋梨もラ・フランス一色ではなく、改良種のル・レクチェとか、バートレット、高級品種のレッド・バートレット、オーロラ、メロー・リッチなど変わり種もすこしずつ市場に出てくるようになりました。でもラ・フランスが圧倒的(栽培面積で65%とか)に多いのはうなずけません。なぜってラ・フランスが一番おいしいとは言えないからです。洋梨の本場であるフランスではもうラ・フランスは栽培されていないという話しを聞いたことがあります。もっとおいしい洋梨の品種が沢山出回っているからです。日本の市場も海外並みにもっと品種にバラエティが増えて欲しいと思います。ラ・フランスだけが洋梨じゃない、もっとおいしい他の種類の洋梨を応援したいと思っているのは私だけでしょうか。

とはいえ、この洋梨のワイン煮には、木熟の皮が黄色味を帯びたラ・フランスなら結構美味しく出来ます。赤ワイン煮にしてしまうと、洋梨の品種の違いはさほど目立たなくなるので。

お口直し2種~グレープ・フルーツのグラニータとキャロット・ラぺ R#76

おもてなしのパーティなどの場合、コース料理だと、前の料理の後味が消えないうちに次の料理を出すと、折角の苦心の味が損なわれてしまうのではないかと心配になることがあります。そんなときは、料理の合間に、何か軽い一品を出して、お口の中をリフレッシュしてもらいましょう。そんな目的に役立つレシピを2つ紹介します。グレープ・フルーツで作るグラニータは、脂っこいものやしつこい味の料理の後味を消すのにぴったりです。キャロット・ラぺは辛みが強いもの、苦みのあるものなどの後に。どちらも簡単にできますし、冷蔵庫または冷凍庫で保管できるので大変便利。それだけでなく、独立した一品としても十分作る価値があります。お試しを。

おもてなしレシピ~ターキーレッグ、ベネツィア風ソース、オレキエッテとほうれん草炒め添え R#075 

スモークド・ターキーレッグ(冷凍)が手に入ったので、これをどう料理しようかと考えた末、ベネツィア風にパンチェッタと野菜、トマトソースで煮込み、ほうれん草とオレキエッテの付け合わせを添えることにしました。ベネツィア風というと、レバーを使ったソースが多いのですが、それではあまりにしつこくなるので、レバーの代わりにパンチェッタと野菜のソースで味付けしています。メインが淡白なターキーですので、ソースをいかに上手にターキーにしみ込ますかが、鍵になります。そのため下処理の段階から、オーブンでのロースト、そしてソースの中での煮込みまで、手間を惜しまずにしっかりと仕上げましょう。この大きさのレッグ(骨ごとで700g前後)か、それ以下なら解凍も簡単、前の晩に冷凍庫から冷蔵庫のチルド・ルームに移しておくだけで朝には解凍が終わっています。以前、6キロもある冷凍ターキーをまるごと解凍した時は、もう二度とごめんと思うぐらい大変でしたが...。オレキエッテはクタクタに炒めたほうれん草とよく合います。イタリーではほうれん草ではなく、菜花(なばな)に似た野草と合わせるのことが多いようですので、日本でも春先なら菜花の花茎と柔らかい葉先を茹でたらいいかもしれません。オレキエッテのシコシコした歯ごたえとクタクタになったほうれん草の組み合わせは不思議と絶妙なコンビネーションです。一度食べたら病みつきになるかも。

なおこのレシピの最後にターキーの骨だけで作るターキーブロスの作り方を応用編として追加しました。ここをクリックするとジャンプします。

デイリー・レシピ~グリーンピースとバジルのパスタ、アーモンド風味 R#074


今度もディリー・レシピのパスタ料理ですが、味の点からはかなりユニークな一品です。豆類の中でもグリーンピースは栄養価が高くしかもとてもおいしい素材ですが、裏ごしにしてスープにするか、炊き込みご飯とかオムレツの材料ぐらいにしか使われる機会がないのは、常日頃から残念に思っていました。このレシピは、CS局のDlifeで放映中の「ジェイミー・オリヴァーがゆく!スーパーフードの旅」で放送されたレシピ「アーモンドとバジルのギリシャ風カルボナーラ」からヒントを得て考えたものです。このようなグリーンピースをたっぷり使う料理は意外と多くありません。あまり知られていないようですが、グリーンピースにはたんぱく質、カリウム、亜鉛、各種のビタミンB、それに脳の活性化に役立つナイアシンが豊富、しかも食物繊維が高い比率で含まれています。その点からも、ぜひお試しいただきたいと思い、私流のアレンジを加え(特にグリーンピースの比重を多くして)紹介しています。グリーンピースの青臭さが苦手という方も結構多いようですが、アーモンドとバジルと一緒にフッド・プロセッサーにかけることで、青臭さはかなり減らせます。生のグリーンピースが出回る時期は、非常に短いのですが、冷凍のグリーンピースでもおいしくできるので、年間を通じて活用して欲しいと思います。


デイリー・レシピ~オレキエッテとパストラミのパスタ、生クリーム・ソース R#073

オレキエッテはあまりなじみのないパスタかもしれません。オレキエッテとは耳たぶの意だそうですが、私はオレキエッテの半球形の形からバチカンの偉い聖職者がかぶっている帽子(ズケット)を連想してしまいます。イタリア産のオレキエッテは硬質小麦だけで作られているので、ゆで時間は、その小さく可愛い形とはうらはらに、10分から11分と長いのが普通です。そんなに長い時間茹でても歯ごたえはまさにアル・デンテ。コリっとした噛みごたえは、前回のレシピ、リコッタチーズ入りニョッキ、田舎風に似ています。今回はビーフ・パストラミと合わせて、生クリームたっぷりのソースで仕上げました。パストラミは最近スーパーなどでスライスしたものが売られているのをよく見かけるようになりました。米国ではごく一般的な食材ですが、日本ではパストラミという言葉になじみがないせいでしょうか、「ペッパー・ビーフ」などという名前で売られているのを見かけたこともあります。上の写真はスライス(切り落とし)として売られていたビーフ・パストラミを使っていますが、もし運よくパストラミのブロックが手に入ったら、薄い短冊切りにして使ってください。その方が、歯ごたえがオレキエッテと合うので、もっと美味しくなります。日本ではハムやソーセージといえば豚肉を原料としたものという先入観がありますが、西欧では豚肉以外にビーフやラム、ターキー、鹿肉などから作られたものも珍しくないようです。大雑把に言えば、パストラミは牛肉から作ったハムと考えることもできます。もっとこの国のキッチンで愛用して欲しい食材の一つと言えるでしょう。このところ夏らしくない不順な天候が続いていますが、生クリームをメインとしたパスタ・ソースは、意外と口当たりがあっさりとしていて、暑い日でも食欲を損なうことはありません。むしろ夏バテ予防にもなる、この季節にお勧めのレシピです。

デイリー・レシピ~リコッタチーズ入りニョッキ田舎風 R#072

前にも一度紹介したことがあるニョッキ(R#016)のバリエーションです。今回は生地にリコッタ・チーズを練りこんでいるのが特徴です。そのほかには、溶き卵しか使っていません。リコッタチーズを強力粉に合わせると、できあがりがしこしこした口当たりとなり、とてもおいしいのです。それに腹持ちがよくなって、少量でも満腹感が長持ちします。田舎風という意味は、ふだん激しい肉体労働をする農家や畜産業に働く人たちが日常的に食べている食事を示唆しています。とても簡単に作れますし、材料費もかかりません。自分の家で飼っている牛や鶏がいれば、小麦粉だけがあれば作れるというわけです。イタリアの農家のランチなどにはこういう腹持ちのいい食事が好まれるのも、ちゃんと合理的な理由があるんですね。ここではニョッキのサイズを大きめにつくってあります。その方がこしこしというか、コリコリというか、独特の食感をより楽しめます。アル・デンテのパスタの極致というわけです。上の写真ではこのブログで何度も使っているビーフ・ラグー・ソース(R#006ビーフ・ラグー・ソースでパスタ料理)をかけていますが、農家の食事ではもっとベーシックなトマト・ソースだけで供されることが多いようです。それでも十分おいしいんですよ。

おもてなしレシピ~アフリカン・チキン、揚げポテト添え R#071

アフリカといっても北の地中海に面した地域は、かってギリシャやローマの支配を受けていたこともあり、地中海沿岸食文化の影響を強く受けています。今回紹介するアフリカン・チキンもその一つといえるでしょう。特徴はこの料理に使われるベルベル・ソースにあります。ベルベルという名から察して、おそらく北アフリカのモロッコやアルジェリアなどサハラ砂漠以北に住むベルベル人にその源があるのかもしれません。ベルベル・ソースにはフェヌグリーク(ギリシャの馬ごやしという意味とか)という香草の種が使われるのが本式なのだそうですが、日本では入手が難しいので、代わりに香りが似ているといわれるメープルシロップを使いました。ベルベルソースには、そのほかにもいろいろなスパイス(粉末状になったもの)を混ぜるのが現地風です。でも全部を揃える必要はありません。チリ・パウダーとパプリカ・パウダー、それにカルダモンさえ欠かさなければ、あとのスパイスは省略できます。それでもこのソースのちょっと変わった(アフリカ風?)おいしさは格別。ここでは辛さを抑えてマイルドなソースに仕上げてありますが、好みでカエン・ペッパーか唐辛子フレークを追加してもいいでしょう。たまねぎ、しょうが、にんにくはすりおろしたものを使ってください。ソースをとろっとした触感に仕上げたいので。そして絶対に試してほしいのは、このソースでつけあわせの揚げポテトを味わうこと。揚げたポテトとの相性が信じられないくらい最高なんです。

おもてなしレシピ~イベリコ豚の骨付きロース・グリル、アンチョビ・ソース R#070

今回のレシピは、たまたま近くのスーパーでみつけたスペイン産のイベリコ豚の骨付きロース肉のグリルです。それも1本が250gという珍しい程の大きさでしたが、スペインのタパスのようにワインの友として召し上がるなら、1本150g位を超える大きさなら充分楽しめます。重量の中には当然食べられない骨の重さも含まれているので、ディナーのメインとして出す場合は、一人分250gでも決して量的におおすぎることはありません。これは骨付きの肉類全体に言えることですけど。

サルシッチャ(生ソーセージ)とそら豆の本格リゾット R#069

最近は本場イタリアの製品に遜色ない本格的なサルシッチャ(生ソーセージ)が日本でも手に入るようになってきました。といってもネット通販が中心ですが、ともかく本物が料理に使えるようになったことはうれしい進歩です。生ソーセージとは加熱処理をしていないソーセージを指します。サルシッチャも生ソーセージの一種でイタリア料理でよく使われ、製造時にハーブやスパイスで味付けしてあるのが普通です。生ソーセージは文字通り生なのでネット通販では冷凍された状態でクール便で配達されます。冷蔵物がイタリアのように店頭で手に入れば理想的ですが、日本でそうなるにはまだまだ時間がかかるでしょう。従って、生ソーセージはハムやサラミと違い、必ず加熱して召し上がってください。その料理法の一例として、ここではリゾットでの食べ方を紹介しています。生ソーセージが格別美味しい理由は、加熱(あるいは燻製処理)された普通のソーセージと異なり、生肉の本来の美味しさがそのまま残っていることにあります。生肉を焼いたときと同じようなジューシーな肉汁を味わえるのがなんといっても生ソーセージの醍醐味といえるでしょう。またサルシッチャには、保存処理のためにハーブやスパイスが使われており、それが加熱されることで肉の美味しさが一層引き立つともいえます。ぜひサルシッチャのおいしさを体験してみてください。なおこのレシピで使ったサルシッチャの同等品はアマゾン通販で「ミートガイ」「男の台所」「モンテベッロ」ブランドなどが入手できます。

なお、リゾットに使うお米は、手に入れやすいタイの香り米(ジャスミン米)を使いました。イタリア産の高価なカルナローリ米やアルボリオ米を使わなくても、このレシピで充分本格的なリゾットを召し上がれます。

本物のサルシッチャの充足感に120%マッチさせるため、追加の具としてそら豆、アスパラガス、マッシュルーム、そしてドライトマトのオイル漬という最高の取り合わせを実現しました。ぜひこの具の取り合わせもお試しください。イタリアのレストランでしか味わえなかった至福のリゾットの味わいを、いまこそご家庭の食卓でどうぞ!

なお、このR#069のレシピはリニューアルを機に、以前の「デイリー・レシピ~サルシッチャ(生ソーセージ)のリゾット風」から現在のものに差し替えました。

さらにこのレシピの中で使われているドライ・トマトのオリーブ・オイル漬けの作り方のレシピを補完編としてこの↓に追加しました。そちらもご覧ください。


チノ=イタリアーノ~パストラミとココナツ・ミルクのスープ R#068

今回はチノ=イタリアーノの2回目のレシピです。薄切りのビーフ・パストラミとエスニックな食材である、ココナツ・ミルクでスープを作りました。ココナツ・ミルクは中華料理でもよく使います。特に中華風のスープの隠し味として使うと、味に奥行きが出るのですが、残ったココナツ・ミクルはガラス容器などに入れて冷蔵してもあまり長く持ちません。そこで残り物のココナツ・ミルクの利用法として考えたのがこのレシピです。作ってみると、パストラミとココナツ・ミルクの相性がびっくりするくらいぴったり。ごはんのおかずとしてだけでなく、パンやパスタにも合います。ブイヨンの代わりに顆粒の鶏ガラだしと貝柱だしをベースにしているので、中華料理風の味を想像されるかもしれませんが、ビーフ・パストラミとジャガイモのせいで、イタリアンの食事とでも全く違和感なく調和するのは不思議なくらい。手間もかからず、高価な材料もいらないデイリー・メニューにふさわしいひと品です。

デイリー・レシピ~ホワイトソースで作るじゃがいも入りカルボナーラ R#067

このレシピは一つ前のレシピ「ペンネとベーコンのクリーム・ソース・グラタン R#066」の続きみたいなものです。というのは、その料理を作ったとき、ホワイトソースとベーコンが余ってしまいました。その使い道を考えるうちにこのレシピが浮かんできたからなのです。余ったホワイトソース(ハインツの缶詰)は170g、ベーコンは130gです。ホワイトソースは余った分をガラス容器に入れて冷蔵庫に保存してあります。遅くも1週間以内に用途を考えて使わないと品質が変化してしまいます。以前「フェットチーネ・ナポリ風、レモン・バター・ソース R#041」を作った時のことを思い出し、その時の生クリームの代りにホワイトソースを使ったらいいのではという考えが浮かびました。折も折、買い置きの食材をチェックしたらじゃがいもが1個出てきたのです。そうだ、いつだったかイタリアの田舎の家庭を取材したテレビ番組で、パスタに加えてじゃがいもを入れてカルボナーラを作っているところを見たことがある---早速それを真似て、じゃがいも入りのカルボナーラをホワイトソースで作ったら、と試してみたのがこの料理です。出来あがってみると、じゃがいもがホワイトソース・ベースのレモン・バター・ソースと相性がぴったり。とても美味しいパスタ料理になりました。レストランで出すような、というよりは、なつかしいマンマの味といった家庭的な一皿です。気の置けないお友達を呼んだ時のランチなどにどうぞ。

デイリー・レシピ~ペンネとベーコンのクリームソース・グラタン R#066

今回は手軽でそれでいて美味しい料理を紹介します。ペンネとベーコン、ブラウン・マッシュルームで作るグラタンです。ベーコンはブロックを用意してください。最近はスーパーで容易にベーコンのブロックを見つけられるようになりました。ここでは米久の原型ベーコン・ブロック(下の写真)を使っています。家庭で気軽に使える大きさ(210g)なので便利です。もちろんパンチェッタがあれば申し分ありませんが、ベーコン・ブロックでもとても美味しくできます。便利と言えば、このレシピでもハインツのホワイト・ソース特選缶を利用しています(下の写真)。グラタンやドリアを作るときに、いちいちベシャメル・ソースを手作りするのは大変な手間になってしまいます。その点、このハインツのホワイト・ソースは本当にすぐれもの。缶詰なので、いつでも気軽に使え、その上常備しておけるので助かります。特選缶になってから、手作りのベシャメル・ソースと味の点ではさほど差がなくなりました。料理にこのような半加工品を上手に使うのも、料理上手への早道といえるでしょう。
ハインツのホワイト・ソース特選缶は、このほか、ラザニアやラビオリ、カネロニのようなパスタ、クリーム・ソースを使う料理、シチューや煮込みなど、これ一缶で料理のレパートリーの幅がうんと広くなる逸品です。使いきれなかった分は密閉できるガラス容器などに移して冷蔵庫に保管すれば数日は大丈夫。昨今の寒い季節には熱々のグラタンがなにより。繰り返しても飽きが来ない我が家の定番料理の一つです。

おもてなしレシピ~仔牛のコトレッタ、ミラノ風 R#065

都合で新しいレシピのアップロードがしばらく途絶えてしまいました。今年最初に掲載するのは、仔牛肉を使ったコトレッタ(カツレツ)です。クリスマスの食材を買いに歩いていたら、あるお店(輸入食品とワインの専門店)で冷凍の仔牛肉を見つけました。東京でもスーパーや輸入食品のお店の店頭で仔牛肉を見ることは殆どありません。仔牛肉を使いたければ、ネットの直販で買うしかないと思っていたので、早速手に入れてミラノ風のコトレッタを作ってみました。

オーストラリア産の仔牛のヒレ肉で一つのパックが120グラム、お店の表示にはステーキ用と書いてありましたがこの大きさではステーキには小さすぎます。衣をつけて焼くミラノ風コトレッタに丁度良い大きさです。出来上がりは、やはり仔牛肉だけあってとても軟らかく、クセのない淡白な味。右の写真ようなブロック1個を肉叩きで叩いて延ばすと、完成品は上の写真のような大きさになります。一人前のメインとして十分なボリュームです。もし手軽に手に入るようなら日常の食材にぜひ加えたい一品ですが、日本では値段が高すぎるのが難。仔牛が大好きな私の夫は、いつもなぜこの国では仔牛を食べないのかと嘆いています。ほんとうにほっぺたが落ちるくらいにおいしいのに!

仔牛肉はヒレでなくとも充分柔らかいので、ロースでも同じようにできます。レシピの最下部に通販で入手できる仔牛のロースの広告を掲載してあります。

デイリー・レシピ~ミックス・ビーンズとパンチェッタのバルサミコ酢炒め R#064

 

 イタリアに限らず、地中海地方では豆を使った料理がよく食べられています。そのせいか、料理に使われる豆も種類が多く、また料理法もバラエティに富んでいます。最近はいくつかの種類の豆を取り合わせ、すぐにそのままでも食べられるようにした、缶詰やレトルトのミックス・ビーンズが出回っているので、それを使って美味しい豆料理を作ってみました。豆は、ひよこ豆、レッド・キドニー(赤いんげん豆)、マローファット(海外産の粒の大きなグリーンピース)です。ひよこ豆には良質のたんぱく質が多く含まれており、レッド・キドニーはカルシウムや鉄分が多く、マローファットにはグリーン・ピース同様、多量の食物繊維が含まれていると考えられます。つまり、この3種類の豆を食べるだけで、栄養バランスが大変良くなると言う訳です。和食の場合、豆料理と言うと醤油を使った煮物が多くなりますが、このレシピのような味付けにすれば、塩分のとりすぎを避けることができます。このレシピでは、味のアクセントにエルブ・ド・プロバンス(別レシピ参照)を使っていますが、なければ、バジルやイタリアン・パセリなどのみじんぎりでも構いません。バルサミコ酢とはちみつを使うと照りがついて、とても美味しそうに見えます。また実際、食べてみれば手軽なわりに驚くほど美味しいんです。パンチェッタはベーコンで代用できます。カロリー過剰が心配なら肉抜きでも味にもの足りなを感じることはありません。バルサミコ酢のおかげで、主菜になるほどしっかりした味なのです。豆料理では他にあまり例がないので、ぜひお試しください。


ほうれん草のラビオリ、田舎風 R#063

 

緑の線の円内はラビオリの中身を
表示しています。

 デュラム・セモリナ粉で作ったラビオリは、コシが強く、歯ごたえがあり、生地の美味しさを味わえるパスタです。特にイタリアの田舎に行くと、激しい労働に耐えられるように、どっしりとお腹にたまる、高たんぱくのセモリナ粉を使ったラビオリが好んで作られるのだとか。このレシピでは、セモリナ粉ではなく、普通の薄力粉を使ってセモリナに近い食感を引き出そうと工夫してみました。茹で上がったラビオリの外皮は、かなり硬く感じるはず。そのため、作業途中で上と下の生地を合わせるときは、隙間が残らないようにしっかり押し付ける必要があります。自信がなければ、卵液を塗ると、茹でる時にパンクしにくくなります。具(フィリング)に使うチーズは最近日本でも入手しやすくなったリコッタ・チーズを使っています。できあがりをすぐにバットなどに並べ、冷凍しておくと1週間くらいは味が変わりません。冷凍した場合も、すぐに食べる場合も、塩を入れた熱湯で茹でますが、5分くらいしてラビオリが水面に浮きあがってきたら、茹で加減を確かめ、好みの硬さで引き揚げてください。ソースはこのブログ定番のビーフ・ラグー・ソース(別レシピ参照)をかけるか(上の写真)、おろしたパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズとみじん切りしたチャイブ(またはバジル)を混ぜ合わせ、粗塩を加えたもの(下の写真)をかけて食べます。どちらでもお好みで。




ビーフ・ラグー・ソースを使ったエンチラーダ地中海風 R#062


エンチラーダはトルティーヤを使ったメキシコ料理の一つですが、ここでは唐辛子の利いたエンチラーダ・ソースの代わりに、このブログの別レシピで紹介している、イタリアのビーフ・ラグー・ソースを使って新しい味の創造に挑戦してみました。キャセロールのような器にフィリングを包んだ筒状の具を並べ、ソースとチーズで覆ったものをオーブンで焼くという点では、エンチラーダは、イタリアのラザニアやカネロニ料理と多くの共通点があります。ソースが変わってもきっとおいしくできるに違いないと試してみたのですが、結果は期待以上の傑作レシピの誕生でした。生地のコーン・トルティーヤ、具の潰した赤いんげん豆(レッド・キドニー)はメキシコ生まれ、筒状のトルティーヤを覆うメインのソースとシュレッド・チーズはイタリア生まれ、その両方がこんなにも調和するというのも、やはりラテン系の国同士だからでしょうか。ぜひお試しください。トルティーヤはとうもろこしの粉でできたコーン・トルティーヤを使いましたが、最近たいていの大手スーパーでもみかける入手しやすい小麦粉のフラワー・トルティーヤでもできます(味は少し劣りますが)。スパイスのチリ・パウダーとクミンシードは絶対に外せません。これだけは必ず入れてください。あとはお好みで辛いのが良ければチリ・ペッパーを使うか、唐辛子を加えてください。このレシピどおりなら辛くはないのでお子さんでも召し上がれます。コーン・トルティーヤは冷凍ものが多いようですが、その場合は時間をかけて完全に解凍してください。それでも固すぎるときは、電子レンジでさっと温めると柔らくなります。固いままだと具を包むときに割れやすいので。

このブログで人気のレシピ、ビーフ・ラグー・ソースの新しい活用法の登場です。